恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
林檎の仲間
あ、また1人でいるし。
美術の時間、小林を探すと、誰と戯れる事なく1人でスケッチブックに向かう小林を見つけた。
なんで友達作んねぇんだろ。
大体、オレの前では普通に話して普通に笑うのに、なんで教室じゃあんな無表情決め込んでんだ?
まるで誰も寄せ付けないようにしてるみたいに……
浮かんできた疑問に眉を潜めると、隣にいた岡田がオレの頭を小突いた。
「見つめすぎ。バレるぞ」
「……見てねぇし」
「嘘つくな」
「それより岡田。おまえ何描いてんだ?」
岡田のスケッチブックに書かれた芋虫みたいな物体に聞くと、岡田が自信満々に答えた。
「林檎だろぉが!今日の課題は林檎なんだからそれ以外何書くんだよ。
全く壱は美的センスがねぇな」
「あぁ、林檎を食いに来た芋虫か」
「林檎だって言ってんだろ!
見ろよ、この独創的な林檎!芸術だろ」
「自分で独創的って言っちゃってるし。
見たまま描けよ。誰もおまえにそんな芸術求めてねぇよ」
「せんせー!壱くんが僕の絵をバカにします!」
「あ、てめぇ……」
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