恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


「あ、せんせー!壱くんが寝てます」

「浸ってんだよっ!見逃せ」


いちいち煩い岡田から顔を逸らすと、またしても小林の笑顔が飛び込んできた。

オレに笑いかける小林に、胸が酷く痛む。



オレは……小林を自分のものにしたい。


あの笑顔を

あの声を

あのキレイな髪を。


オレだけのものにしたい……



自分の小林への気持ちに改めて気付かされながら、オレは小林を見つめた。


どうしょうもなく痛む胸が、苦しくて仕方ない。

恋って……痛いな。

すっげぇ痛い。


軽快なチャイムに、オレは顔を上げる。

岡田の描いた芋虫みたいな林檎が赤黒く色づけされていて、その毒々しさが、目に痛い。


大きなため息に嫌な思いを吐き出してから、オレは席を立った。



次は昼休みだ。

唯一、オレが小林の隣を独占できる時間。


……友達として。

アップルパイの話題でも芋虫林檎の話でも、何でも来い。


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