恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
にやける口元に手を持っていった時、小林がもう一言付け加えた。
「で、あと1%はね、林檎うさぎの事」
「なんだよ、林檎うさぎって」
オレの言葉に、小林がポケットからケータイを取り出す。
そしてそれにぶら下がるストラップを見せた。
「これ」
「……」
それは、林檎の被り物を被ったうさぎで……赤い林檎の上部分からはうさぎの長い耳が突き出ていた。
……まぁ、可愛いっちゃ可愛いけど。
「つぅか待て!オレとこの林檎が同じレベルかよ!」
「林檎じゃないよ!どっちかって言えばうさぎだよ!」
どっちでもいいよ!
林檎だろうがうさぎだろうがっ
こんなっ……こんな二次元の物体と同じかよ……
うなだれるように壁に頭をつけると、小林が訳の分からないフォローを入れる。
「そんなに落ち込まないでよぉ。
可愛いじゃん、林檎うさぎ。人気だよ。……多分」
「でもこれとオレが一緒のレベルなんだろ?
……分かった。0.1%でいいからオレをこいつより上に……
やっぱいいや」
言いかけて止めた。
だってオレの敵はこいつじゃねぇ。
離れた目を輝かせて母性本能を誘う、この林檎うさぎじゃねんだ。
.