恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
「いいんだけど、あんまり学校の子がいないような所が……」
「大丈夫。ちゃんと分かってるし」
オレの笑顔に、小林もニコっと安心した笑顔を作った。
すげぇいい感じだし。
に、してもなぁ……
「小林はどっか行きたいとことかある?」
オレの問いに、小林は「うーん」と1回唸ってから表情を輝かせた。
「バッティングセンター!」
「え、バッティング……?」
「うん!あたし中学ソフト部だったんだ。
なんかすっきりするし。……ダメ?」
中学ソフト部って……意外だな。
線の細い小林にバッティングなんかできるのか疑問が残りながらも、オレは二つ返事に頷く。
「全然オッケー!オレもバッティングセンター久しぶりに行きたいし。
学校の奴らもいないしな」
オレが少し大げさに返事をしたのは、一瞬見せた小林の寂しそうな表情に気付いちゃったから。
『すっきりするし』
すっきりしたい理由は……聞かなくても分かる。
なぁ、小林。
オレがいつでも付き合うから。
千本ノックならぬ、千本フリーバッティングだってやってやるから。
マメが出来たって、踏み込めなくなったって……それで小林が笑ってくれるなら頑張るから。
だからさ、安心して落ち込めよ。
無理して笑わなくていいから。
高遠の愚痴だって聞いてやるよ。
……本当は聞きたくないけど、それで小林が少しでも楽になるなら聞いてやる。
だから、もっとオレに頼れよ。
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