恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


危機を感じたオレは、いつもはふざけ半分で入っているバッターボックスに、ただならぬ面持ちで入る。

まるで甲子園。……いや、行った事ねぇからわかんねぇけど。

九回裏。1点追いかけてる展開。

ランナーは一塁二塁打。フルカウント。


くる球はストレートのみ。

打たなきゃ……男のこけんに関わる――――……






結果。ヒット10球中5球。

……惜敗。でも気分的には惨敗。


その後やったストラックアウトも1枚差で負け。

隣のゲーセンでやったホッケーも、パズルゲームの対戦も惜敗。

……全っ部、オレの負け。


大ダメージを残しながら、オレはバッティングセンターを後にした。


「楽しかったね!澤田くん」

「おぅ……」


負けるって……女子に、しかも好きな奴に負けるって……

情けねぇな、オレ……


隣で落ち込むオレに気付いたのか、清々しい表情をしている小林がオレに笑いかける。



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