恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
「澤田くん、ホームランすごかったね!かっこよかった」
それは、オレの今日唯一の見せ場。
5本のヒットの中、1本は結構でかめのホームラン。
なんだか慰めてもらったみたいで惨めな気分。
だけど小林の笑顔がすっきりしていて満足そうだったから……
「だろ? オレ野球選手目指してるから」
落ち込んだ気分なんかほっぽりだしてオレも笑顔を作る。
小林が楽しかったならそれでいいや。
男のこけんなんか、小林の笑顔に比べれば……まぁ大事だけど大した事じゃない。
「しかし本当に林檎うさぎって流行ってんだな」
オレの指先で揺れる林檎うさぎのキーホルダーは、クレーンゲームで取った物。
小林がトイレ行ってる間に暇つぶしで1回やったら、山積みになっていた林檎うさぎが2つ転がり落ちてきた。
黒林檎うさぎと赤林檎うさぎ。
人気を見込んでか、かなりのカラー展開されている林檎うさぎ。
でも黒って……毒林檎だろ。
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