恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
そう言ったオレに、小林が笑いかける。
そして言った。
「ありがとう、澤田くん」
礼を言うのはオレの方かもしれないな。
小林とのデートの時間が増えたんだから。
本当は夜の学校なんて嫌だけど。
クソ怖いけど。
ロールプレイングにはこうゆう不気味な場所がつきもんだろ?
……やった事ねぇから知らねぇけど。
クリアするって決めたんだから。
※※※
「小林さん……手繋いだら怒りますか?」
「いいよ。はい」
クスクスと笑われながら、小林に差し出された手を握る。
静まり返った校舎は月明かりだけが照らしていて……不気味もいいとこだ。
職員室だけについた灯りがこれまた不気味。
……そこにいるのは教師じゃなかったりしてな。
なんて考えに、背中を悪寒が走り抜けた。
「大丈夫?」
「……すみません」
隣からクスクス笑ってくる小林。
オレが実は怖がりだって事は、校舎に入った時にバレた。
情けないけど、薄明るい校舎を目の前に脚が進まなくなって……
そんなオレに、小林は1人で行くからって言ったけど、そんな事をさせられるハズがなく。
今に至るって訳だ。
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