恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
「澤田くん手大きいね」
「あぁ……怖がりでも男だからな」
「怖がりならわざわざ付き合ってくれなくてもよかったのに……しかも自分から取りに行こうなんて言って……」
「……申し訳ないっす」
がっくり肩を落とすオレに、小林が慌てて首を振る。
「違うよ!……嬉しかったの。
あたしの為に学校に戻ろうって言ってくれたのが、すごく嬉しくて……」
そこまで言った小林は、オレを見て優しく微笑む。
笑顔までもに「ありがとう」って言われてるみたいで、なんだか照れくさい。
オレは縮み込んでいた身体を、気合いを入れて伸ばす。
ありがとう、なんて言われてるのが怖がり男じゃ情けなさすぎる。
シャキッと身体を持ち上げて大きく呼吸して気合いを入れ直した。
……小林に手を引かれながら。
※※※
「よかったな、あって。これで一安心」
不気味な校舎探検のミッションをクリアしたオレは、すがすがしい笑顔を小林に向けた。
そんなオレに、小林がまたクスクス笑う。
「ありがとね。……でも残念。怖がってる澤田くん可愛かったのにな」
「……それはもう忘れてくれ」
「えー、無理だよ」
小林と笑いながら校門を出た時だった。
教員用の駐車場から話し声が聞こえてきて……その声に、小林が反応した。
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