恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
「なんだ。オレはてっきり、怖じ気づいた澤田が友達に甘んじてんのかと思った。
せっかく友達になれたのに、その関係を壊したくって」
「……」
痛いとこを突かれたオレは、気まずさに俯く。
「……普通そうじゃねぇのかよ。
そりゃいつかは彼氏になりたいけど、だけど今はまだ……」
「別に澤田がいんならいいけど。
……でも隣で待ってるだけじゃチャンスなんか来ねぇよ」
やけに痛い事ばかり言ってくる矢野セン。
いつもなら自分から関わろうとなんかしないくせに……
女子生徒も同じ事を思ったのか、不思議そうに口を開いた。
「先生どうかしたの? いつもとちょっと違う……」
矢野センはそのまま困ったように笑って……
「……大人の事情があるんだよ。おまえらには分かんないような」
この時の矢野センは、明らかにいつもと違ってた。
だけど、その理由が高遠だなんて、その時のオレには知る由もなかったんだ。
高遠の気持ちなんて……知らなかったし分かりたくもないと思ってた。
オレを惑わせる、高遠の気持ちなんか……
知りたくなかったんだ。
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