恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


 ※※※



「……あれ?」


ぼんやりした視界に、夕暮れに染まった雲が飛び込んできた。

オレンジ色に染まった空は、微かに水色を残していてすごく綺麗で……ってどこだ、ここ。


周りを見回して、ようやくここが屋上だって事に気が付いた。

オレの頭が一気に、それまでの経緯を蘇らせる。


「あー……そうか、メグミに……」


弁当作ってきたお礼にデートしろってせがまれて、面倒くさくなって逃げたんだっけ。

で、立ち入り禁止の屋上に……つぅか見返り目当てで作ってくんなよ。計算高ぇな。

その前に母ちゃんが作ったくせに。


あー……背中が痛ぇ……


大の字になって寝てたらしく、立ち上がると背中と後頭部に鈍い痛みが走った。

こんなコンクリートの上でなんか寝たらそうなるのも当たり前だ。

あー……痛ぇ。


コキコキと首を鳴らすように左右に曲げながら屋上を後にする。

下校時間をとっくに過ぎた校舎は静まり返っていた。


ポケットからケータイを取り出して見ると、デジタル時計が17時16分を示している。

……1時間以上寝てたのか。


メグミの不在着信6件をうんざりしながら削除する。

そしてケータイを元のポケットに入れようとして……手が止まった。


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