恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
好きだから
そんな事を思っていたって、いつも通りの授業なら普通に乗り切れたと思う。
だけど……その日はいつもの静かな授業とは少し違ったんだ。
気の利かない岡田のせいで。
それが起こったのは、授業終了10分前だった。
「……と、なんだ。まだ10分も残ってたのか」
授業を終わろうとした高遠が腕時計に視線を落として呟いた。
その後……岡田がいつもの調子で、明るく口を開いた。
「センセー、オレさっき見ちゃった。
馬場センセーに手作りパンもらってたトコ」
岡田の発言に、オレは岡田じゃなく、隣の小林を見た。
小林はその瞬間岡田を振り返って……その視線をゆっくりと高遠に移す。
動揺を浮かべた瞳が、小さく揺れていた。
「仲いいんすね」
にっと笑いながら言う岡田に、高遠は小さく笑みを浮かべる。
そして……
「そうだな」
岡田の言葉を肯定した。
その瞬間、凍りついたように見えた小林の表情に、オレは思わず口を開く。
「だけど馬場先生は矢野センがお気に入りですよね。
同僚同士で恋愛なんてタブーじゃないんですか?
高遠先生は、そうゆう恋愛とかってしなそうですよね。教師同士とかって」
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