恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
そしてゆっくりと小林に近づく。
「あの……小林」
「あ、ちゃんとパンとか何も買わないできた?」
「へ? あ、うん……」
謝ろうとしたのに、その出鼻をくじかれてしまってオレは口ごもる。
すると……
「はい。これ」
小林の声に俯かせていた視線を移すと、そこには……
「え……なに?」
「お弁当作ってきたんだ。一緒に食べようかと思って」
「だって……好きな奴にしか作らないって……」
目の前に差し出された弁当箱に戸惑いながら言うと、小林が当たり前のように言った。
「あたし、澤田くん好きだよ?」
それはもちろん、「友達」として。
一瞬固まったけど、すぐに小林の言葉の意味を理解した。
ちゃんと、「友達」としてだって理解した。
なのに……嬉しくて仕方ない。
気持ちが持ち上がったまま戻ってこない。
「……さんきゅ。すっげぇ嬉しい」
本当なら「すっっっっっげぇ」とかそれ以上に表現しなきゃオレの気持ちは表せないんだけど。
クールぶったのは……照れ隠し。
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