恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
恋敵の心の形
「も~……本当に5時間目出ないの?」
階段の壁に背中を預けるオレに、小林が口を尖らせる。
「あぁ、悪いけど眠くなっちゃったから寝てる。
次体育だしな。岡田がうまく誤魔化すから大丈夫だよ」
目を瞑るオレに、小林はぷーっと頬を膨らませて……諦めたようにため息を落としてから教室に戻って行った。
小林の足音が遠ざかるのを確認してから、オレは静かに目を開ける。
そして、天井を仰いだ。
小林がオレのために手作りしてくれたのがすげぇ嬉しいのに。
嬉しかったのに……
あの中に高遠の好きなものがあんのかな、とか。
本当なら高遠に作りたかったんだろうな、とか。
オレの幸せを邪魔するような言葉がぽんぽん浮かんできて、絶頂気分を阻害する。
隣では小林が笑いかけてくれたのに。
オレが食べてたのは小林の手作り弁当なのに。
いちいち出てくる高遠が、鬱陶しくて仕方なくて……オレの気分を複雑化させる。
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