愛を運ぶケーキ屋さん
「茜は、いじめられてるの」
ケーキを食べ終わった彼女はそう静かに誰に話すわけでもなく、呟いた。
「茜ね、最初はあの子達と仲が良かったんだけどある日を境に避けられるようになっちゃって。私、何度も謝ろうとしたのよ?けど直ぐに喧嘩になっちゃって」
話しているうちに、彼女の膝上で握り締めている拳に涙が数滴落ち始めた。
私は小さな肩を震わせる彼女の傍に寄り添うように立ち、その柔らかい髪の毛を静かに撫でてみた。
「茜ちゃんは、あの子達とどうなりたいと思っていますか?」
私の問い掛けにキョトンとした茜ちゃんは大きな瞳でこちらを見上げてきて、強い意志を込めたように呟いた。
「ちゃんと話し合いたいわ!」
「なら、この店に呼んでみてはいかがでしょう?ここで話してみてはどうです?」
そう提案すれば茜ちゃんは嬉しそうに表情を輝かせた。
「そうするわ!明日来る事にする!」
「はい、お待ちしております」
そう言葉を交わすと私達はお互いに笑い合った。