愛を運ぶケーキ屋さん
翌日、時計はP.M.4:00を示した頃に茜ちゃんと昨日のいじめっ子達がやってきた。
「いらっしゃいませ。」
私は茜ちゃんに近付き、奥の席に案内すれば彼女達は緊張した顔付きで辺りを忙しなく見渡している。
「···話し合いを、したいの」
茜ちゃんは決意したように強く、そう言葉を発した。
「あなた達が今まで私にしてきた事を誰かに言ったりとかしない。だから、私の何がいけなかったのか、知りたいの」
茜ちゃんの言葉に動揺したかのような彼女たちは顔を見合わせつつ、その中のリーダー格の子が口を開いた。
「茜が、悪いのよ。茜は自分が強いからって梨奈たちの前で威張ってばっかりで···ムカついたの。だから、ハブることから始めたわ。けど、····」
そこまで言うと梨奈ちゃんは大粒の涙を流し始め、それに釣られたように周りの子まで泣き出した。
「けど、なに?」
茜ちゃんは、しっかりとした声で問い掛けた。
「····梨奈たち、茜がいなくて、···寂しかったの。私たちがいなくても普通にしてる茜に腹が立って、···ごめ、んなさい」
梨奈ちゃん達は声を上げて泣き始めた。
幸い店には先程最後のお客様を見送ったばかりで誰もおらず、さすがにこの状況には茜ちゃんもビックリしているようだ。