愛を運ぶケーキ屋さん


私は調理室に向かい今朝、作った新作のケーキを人数分用意すればアイスティーも準備し、未だ泣いている彼女達の前に一人ずつ並べた。

梨奈ちゃん達は泣き止み、茜ちゃんもキョトンとしたようにケーキを見つめている。

「私、ハルカワからのサービスでございます。これは、各名産地から頂いた苺、オレンジ、ぶどうなど様々な果物を混合したスポンジケーキに生クリームで包んだものでございます。名を Mutual aid cake(助け合い) 」

「みゅーちゅ、おる?」

口を揃えて繰り返す茜ちゃん達に自然と優しい気持ちが溢れてくる。

”彼女達に幸せを、愛を送りたい”

「 Mutual aidとは助け合いという意味でございます。名前の通り各地からの果物がお互いを認め合い、助け合いながら混合し、こういったケーキができたのです。互いの良いところを受け入れることができたからこそ美味しいケーキが生まれるのですよ 」

眼前の幼さが残る彼女達は私の言葉に目を輝かせて聞き入っている。
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