愛を運ぶケーキ屋さん
openして30分が過ぎ、時計はA.M.10:30を示していた。
店内には既にお客様が数人入っていて、かかる優しい音楽と日の光の暖かさに包まれていた時、来店を知らす鈴の音が鳴った。
店内に初めて来たのか、落ち着きなく辺りを見渡す50代くらいの女性。
横には寄り添うように立つ男性、····藤崎さんがいた。
私は二人の前へ立つ。
「いらっしゃいませ。···お待ちしておりました。」
二人を席に案内すれば、藤崎さんがこちらを見た。
「いつもの、二人分お願いできるかな」
「かしこまりました」
藤崎さんがいつも頼んでいた珈琲とPeriod cakeを2つ、二人の前に置いた。
奥様は珈琲、ケーキと口にした。
「···まぁ!なんて美味しいのかしら」
「嗚呼、君にも食べさせてあげたくてね」
そう言葉を交わす二人はどこから見ても仲睦まじい夫婦でしかなかった。