太陽のような君へ
「おっはー啓人!俺たち二年も同じクラスだぜ」
朝から元気に俺の背中を叩き、やってきたのは高校で仲良くなった烏丸光希だ。
「おはよう。元気すぎるお前とやっと離れられると思ったのに残念だ。」
「おいおい悲しいこというなよ!二年も楽しもうぜ!俺は烏丸でお前は神崎だから席も前後だぜきっと」
そんなことを聞いて憂鬱だみたいな顔をしたがこいつとは何だかんだ一緒にいて楽しい。
「あ、待て。俺とお前の間に誰かいる」
(からすま)と(かんざき)の間に入る人なんて限られていた。
俺はそうじゃないことを願って名簿を見た。
河原日向
かわはらひなた
そう、隣の家に住む不機嫌な幼馴染だ。
一年のころはクラスが離れていたのに神様のいたずらか何かで、今更同じクラスになってしまった。
「河原日向って確か可愛いって言われてるけどいつも不機嫌で怖いって有名な子だよな?」
光希がそう言うまで彼女の名が知れ渡ってることなど知らなかった。
「そうなんだ。」
俺は彼女の存在自体知らないふりをした。
「なんか去年、先輩の彼氏奪ったとかで揉めてたんだよ。校舎裏に連れてかれて殴られたって聞いたことある」
「え?殴られた?」
「そう。俺その話聞く前に彼女と廊下ですれ違ったんだけど口から血がでてたんだよな」
隣に住む幼馴染なのにそんなこと知らなくて俺は驚いた。
でも光希に無関心のふりをするために必死に頭を整理した。
高校に入学するまでは家族ぐるみで本当に仲が良く日向の家族と俺の家族で旅行など行くくらいだった。
高校に入学してから日向は変わってしまった。
夜中遅くに出掛け悪い友達とつるむようになり、学校も遅刻欠席を繰り返すようになった。
それから俺と彼女の間に自然と距離ができてしまった。
「おい、啓人?ぼうっとしてどうしたんだよ。早く教室行こうぜ」
そう光希に言われ自分が思い出に浸っていたことに気がついた。
「はいはい」
と呆れたように言いながら新しい教室に向かった。