さよなら苺飴
「じゃあ、会計していくけどお前も一緒に出る??」
「私はまだ残ってる」
「・・・・・・そうか、じゃあな」
「あの・・・・・・」
「ん?」
〝また会えるかな?〟
そんなこと聞くのはきっと野暮なんだろう
「なんでもない、じゃあね」
君に今日会えるから
何を話そうかずっと考えてたけど
一番言いたかったことは結局言えないまま時間が過ぎてしまった
君はまだ私の大切な人で
大切な人だ
君は無糖珈琲が好きな彼女の元へ帰る
私は婚約者の元へ帰る
何一つおかしいことなんてない
でもどうして
こんなに悲しいんだろうか
ずっと忘れられなかったのは何故だろう
きっともう会えないんだろう
会えたとしても
お互い隣にはもう別の人がいるんだろう
ーーーーカランコロン
「ーーごめん、忘れ物した」