恋に落ちるなら君がいい



出会った頃の慧は高校を中退したばかりで

家を出てバイトをしながら1人暮らしをしていた。


「どうして家を出たの?大変じゃない?」


そう聞いた私に

慧は嬉しそうに人懐こい笑顔を浮かべていったんだ。



「澪に会うために家をでたんだと思う。

親の敷いたレールの上を走っていたら澪には会えなかった。」



慧の言葉の意味なんか分からない。

ただ、私に会うために。そんな事を言われて浮かれていたんだ。



「澪、ずっと一緒に居たいな。」


私が家に帰ろうとすると必ず甘えた声でそう言う。


「でも、帰らなきゃお父さんに怒られちゃうし。」


最初はそんな感じだったけど


いつの間にか立場が逆転しちゃったんだ。



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