恋に落ちるなら君がいい
全ては自分が蒔いた種。
頼る誰かもいなくて
それでも慧がいつか帰って来ることを信じて待っていた。
孤独な夜に死にたいと思った日はかぞえきれないほどあって
眠るのが恐くて
慧のいない朝が来るのが怖くて
いつしか
慧と過ごしたその部屋に居ることが耐えられなくなって
辛い思い出に蓋をして
感情も何もかもそこに置き去りにして
「幸せになりたい」
ただ
そんな微かな希望に…
すがりつくようにして
私はあの家を出た。
そう。
もしも慧が生きていたなら…
事情があって
会いに来れなかっただけ。
私を置いていったことで苦しまないで欲しかった。
自分を責めないで欲しかった。
だから
幸せになりたかった。
もしももう一度慧に会えたなら…
「私は今、幸せだから自分を責めないで」って…
伝えることが
そんな綺麗事が
私から慧に送れる
最後の愛情なんだと
思いたくて…。