恋に落ちるなら君がいい




「新しい商品の発表前ですが、業績は上がっているかと…






奥様のことですか?」


「ん…、いや。どうだろう。


君は…誰かと一緒にいたいと思うことがあるか?」


真剣に聞いた俺に、秘書はくすくす肩を震わせて笑う。



「当たり前のことを聞かないで下さいよ。


好きな相手がいたら

当たり前に抱く想いじゃないですか?」


笑いながら部屋を出て行った秘書の背中を思わず目で追っていた。




好き…?




好き?




それはつまり


俺が彼女に…


好意を抱いている。と…?





「俺が…澪を好き。なんて…」



口にした途端

彼女へ抱いていた想いが


溢れるように蘇る。



好きだから…

一緒にいたい?


なぜ…?


思い浮かぶ彼女の笑顔。


困った顔。


傷ついた顔。

泣き顔。




< 117 / 308 >

この作品をシェア

pagetop