恋に落ちるなら君がいい
「新しい商品の発表前ですが、業績は上がっているかと…
…
奥様のことですか?」
「ん…、いや。どうだろう。
君は…誰かと一緒にいたいと思うことがあるか?」
真剣に聞いた俺に、秘書はくすくす肩を震わせて笑う。
「当たり前のことを聞かないで下さいよ。
好きな相手がいたら
当たり前に抱く想いじゃないですか?」
笑いながら部屋を出て行った秘書の背中を思わず目で追っていた。
好き…?
好き?
それはつまり
俺が彼女に…
好意を抱いている。と…?
「俺が…澪を好き。なんて…」
口にした途端
彼女へ抱いていた想いが
溢れるように蘇る。
好きだから…
一緒にいたい?
なぜ…?
思い浮かぶ彼女の笑顔。
困った顔。
傷ついた顔。
泣き顔。