恋に落ちるなら君がいい
「楓さんのほうは…大丈夫?バレずに来れた?」
「うん。平気。」
慧は普通に聞いて来たけど…
私に同じ質問をする勇気はない。
「サンドイッチも買って来たよ」
パン屋の復 袋をテーブル変わりの段ボールの上に置くと慧は喜んで中身を確認する。
こういう
普通のやりとりの中に
少しだけ悲しさを覚える。
普段、慧はどんな物を食べてるんだろう…。
毎日、砂月さんの作った料理を食べてるのかな…?
なんて
想像もしたくないのに
想像してしまう。
慧はだって…
私とは違う結婚の仕方をしたんでしょ…?
だからこそ
聞くのが怖い事がたくさんある。
「ねえ、慧…野嶋君に会ってあげてよ。」
「野嶋?澪、野嶋と付き合いしてるの?」
「…同じ会社の同僚だよ。野嶋君…慧に会いたそう…。」