恋に落ちるなら君がいい


「楓さんのほうは…大丈夫?バレずに来れた?」

「うん。平気。」


慧は普通に聞いて来たけど…


私に同じ質問をする勇気はない。



「サンドイッチも買って来たよ」

パン屋の復 袋をテーブル変わりの段ボールの上に置くと慧は喜んで中身を確認する。



こういう


普通のやりとりの中に


少しだけ悲しさを覚える。



普段、慧はどんな物を食べてるんだろう…。


毎日、砂月さんの作った料理を食べてるのかな…?

なんて

想像もしたくないのに

想像してしまう。



慧はだって…


私とは違う結婚の仕方をしたんでしょ…?



だからこそ


聞くのが怖い事がたくさんある。




「ねえ、慧…野嶋君に会ってあげてよ。」


「野嶋?澪、野嶋と付き合いしてるの?」

「…同じ会社の同僚だよ。野嶋君…慧に会いたそう…。」


< 139 / 308 >

この作品をシェア

pagetop