恋に落ちるなら君がいい
「一応、おめでとう。だよね?」彼が可笑しそうに笑うから私は頷いた。
「おめでとう!ですよ!だって私達は私達なりの幸せを掴んだんですから」
「…そうだな。幸せのカタチ。か」
目を細めて呟いた彼の言葉。
横顔。
きっと彼も私と同じ側の人間なんだろう。
そう周りとはちょっと違う。
原因はそれぞれだけど
周りには分からない私達だけの幸せのカタチ。
誰に伝える必要もない
こちら側の幸せのカタチ。
「次は何をするんですか?」
「とりあえず先に婚約指輪を買いにいこう?それから君の引っ越しも進めて。
挙式のこともあるし…」
「引っ越しも挙式も、楓社長の好きにして下さい。私、自分の方には報告する相手もいませんし。住まいは会社の寮なんで」
「そう?そっか…
本当に楽な子で良かった。俺は当たりが良いな」