恋に落ちるなら君がいい



楓社長が綺麗な涙を落として泣いていた。




頬に冷たく落ちた涙。




あれは




夢じゃ…ないよね。



どうして



泣いていたんだろう…。





朝、目覚めたとき


薄っすらだけど確かに昨夜、楓社長が私の側で泣いていた。



零れ落ちる涙が綺麗で


泣かないで欲しくて


その綺麗な跡を指で触れて見た…。





その後の記憶はないけれど

楓社長が泣いていた。

それがこんなにも、胸を締め付ける事になるなんて…


私に想像することができただろうか。





朝食ができても、いつまでも起きて来ない彼。

休みの朝だって、いつもと同じ時間に起きて来るのに…。



不思議に思い、彼の寝室の扉をノックしても返事が来ないから


恐る恐る扉を開けて中に入ると

彼はベッドの中ですやすや

頬を赤くしながら眠っていた。



「…ん?

ほっぺ…赤すぎない?」


眠ったまま起きなさそうな彼の額に触れてみると


予想以上に熱い。



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