恋に落ちるなら君がいい
私の話しを頷きながら聞いている彼だけど…
きっと知りたい所はそこではない。
それくらい私にだって理解る。
ただ、私がすんなり彼の欲しい答えをあげるかどうかは別だわ。
だって…
あげてしまえば
認める事になる。
「砂月さん夫婦が円満な秘訣は?」
「えっ…?」
飲みかけていたコーヒーカップを置いて思わず彼の顔を見つめてしまった。
それは
私にとって意外な質問だったから、
私と慧一が親に決められた結婚相手。
それだけで周囲の目はいつも厳しいものだった。
「うまくいってない。」を前提に話しをしてくる人はたくさんいたけれど
「うまくいっている。」を前提に話しを聞かれたのは初めてだったから。
夫婦円満の秘訣…。
それは
私と慧一にとって、大きな課題だった。