恋に落ちるなら君がいい
「結婚した者勝ち」
彼女は確かにそう言った…。
まるで何かを知っているような
そんな捉え方もできるような言い方だ。
いつものように明るく
愛嬌を見せる裏側に
秘めた思いを感じたのは…
気のせい…か?
取り繕われた笑顔。
あの笑顔をそう感じるのは
同業者だからだ。
彼女もまた
大企業の社長の妻になるに相応しい家柄の娘だ。
表と裏の使い分けなら素人には分からないくらいなものだろう…。
慧一と澪の事をきっと彼女は知っている。
そう言っても過言ではないだろう。
けれど
あの余裕。
そう見せてるだけなのか、そうじゃないのかまでは分からない。
けれど…
もし
彼女が余裕。であるなら…
きっと何かを仕掛けるに違いない。
大企業の跡取りの妻である以上。
その立ち位置を守るための何かを…。