恋に落ちるなら君がいい


「あの時…全部を捨てて俺の所に来たこと…


今、後悔してる?」


彼女と再会をしてから3度目の待ち合わせの夜に


ずっと気になっていた事を聞いて見た。



そう

君は俺のせいで人生が台無しになった。



「急に聞かれても分からないよ。

でも、あの時は後悔なんてなかったよ。


勿論、慧がいなくなった時だって…


後悔なんて。


ないよ?」


ボロボロのアパートという小さい箱の中で

俺の肩に寄り添って聞こえてくる優しい声。


その細い肩を今すぐに抱き寄せられたら…




そんな事できない。



本当に知りたい事を知る事が恐くて…。




なぜ

彼と結婚したの?

俺とこうして会っていながら

彼を想っているの…?


触れたいと思うたびに

あいつの顔が目に浮かぶ。



どうして俺は彼じゃなかったんだろう…。


どうして澪の結婚相手が俺じゃなかったんだろう…。



知る事ができたとしても

知る事が恐い。


俺はそう

臆病だから。



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