恋に落ちるなら君がいい


「どうして…急に?」


「条件の1つは、別れる日は福富夫婦との食事が終わってから。


もう一つは…」


これが1番言い辛くて…


1番


叶えたいこと。



「もう一つは…なんですか?」


「君に触れさせて…?」



1度でいい。


1度でいいから

俺を君の瞳に映して。

そして抱きしめさせて。

それ以上を

求めないから。


傷つけないから。


壊さないから。


彼女の瞳からまた大粒の涙が溢れ零れる。



「私を抱きしめる前に…聞いて欲しいことなあるの。」


震える声で

初めて君が俺に望んだこと。


それは

あまりにも残酷な

澪の宝物。




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