恋に落ちるなら君がいい



慧一と出会ってから今日までの日々のこと。


どんな気持ちで俺が社内新聞に載せた募集に返事を書いたのかを。

小さなその一つで背負うにはあまりにも荷物が多すぎて

彼女の抱える闇に少しも気づけなかったことが


とても悲しかった。


やりきれなかった。


俺はいつだってそんな事も知らずに自分の気持ちばかりを彼女に押し付けていた事を思い知らされた。




「自分の想いを優先に全部を捨てた。

大切な命まで守ることができなかった。


忘れられない人を永遠に想ってられそうな楽な結婚だと思ったから…


あなたと結婚したんだ。


ね?

私ってこんな女だったんだよ…。

呆れたでしょ…?

嫌いになったでしょ?」


震える掠れた声。


彼女の話す内容は本当に

痛々しい内容だったけれど…

聞いていて

胸が締め付けられるような

切なさを感じたけれど…


不思議なことに


初めて彼女を近くに感じた気がした。



初めて

彼女の…


澪の心に…


奥底に

触れられた気がして


思わず


強く抱きしめていた。



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