恋に落ちるなら君がいい


「ごめんなさい」と

何度も謝る泣き声。



夫婦らしい夫婦生活もできなかった。


誰でもいいから結婚したい。なんて

恋も愛も知らないのに


そんな事を考えた罰があたったんだ。



けれど


澪と過ごした時間は無駄じゃない。



俺は

ちゃんと一人の女性を好きになることができて


好きな相手に触れる幸せを知った。



ただ

その幸せが永遠という時間に変わらなかっただけのこと。



後悔ならたくさんある。


もっと違う形で出会いたかった。


ちゃんと知り合って

友達から始まって

恋を知りたかった。


無機質な心が蒔いた種なら自分で拾って始末するしかない。



彼女にまで


そんな事をさせる必要はない。


「傷つけて…ごめんなさい。」

いつまでも続く泣き声。


「謝るくらいなら…


抱きしめ返してくれないか。」


無謀な願い。

君は受け入れて

細い腕で力一杯

抱きしめてくれた。



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