恋に落ちるなら君がいい
「お誘い、有難うございます。」
慧が楓社長に頭を下げて席に腰を下ろすと
その1歩後ろにいた砂月さんも一礼をして席に着く。
「私、前回の食事以来、ここのレストランのファンになってしまって。
また、ここで食事ができるなんて嬉しい。」
砂月さんは相変わらず綺麗で
明るくて
その顔をまともに見ることができない。
「この店はなかなか、予約がとれないらしいですからね。」
楓社長がワインを口にしながら言うと
「そうなのよ。ね?早く2人でデートに来たいわね」と慧を見つめる。
慧は
いつになく
苦笑い。
そんな…恥ずかしがり屋さんだったっけ?
それとも私がいるから遠慮してる…?
何気無い会話。趣味や雑談をしながら
一通りの食事が済んだ頃
隣に座っている楓社長の背筋がピンとよりいっそう、のびた。