恋に落ちるなら君がいい
「そう、それは良かった。
籍をいれたのにらまだ夫婦らしいこともできていなかったから」と彼の冗談交じりの声が聞こえて
なんとなく安心する。
温まった夕食をダイニングテーブルに置くと彼は静かに何も言わずにそれを口にする。
部屋に戻ったほうがいいのかしら?
少し困って立ち往生している私に気づいた彼が「挙式のことなんだけど…」と口にしたので、彼の向かいに腰を下ろす。
「はい、何か決まりましたか?」
「知り合いの教会で式をあげることになると思う。
相手は俺の親父が生前、とても世話になった相手だし。
どうせお金を使うならこれから、メリットがあるような使い道をしたいからね。」
「…それは良い考えですね。」
「だろ?君にもこれからウェディングプランナーとの打ち合わせに参加してもらわなきゃいけないから。
ドレスとかは金額気にしないで好きなものを選ぶといいよ?」
「ありがとうございます。私は幸せ者ですね」
そうは笑いかけると
彼は少し黙り込んだあとに
困ったように笑う。
「君は本当に…
変わっているのか
楽なだけなのか」
「きっと…素直にどちらも当てはまります。
打ち合わせの日程とか、分かったら教えてください」
「ああ、分かったよ。」
そう言ったあと、彼がおもむろにテレビの電源をつけたので、私は「失礼します。」と声をかけて自室に戻りベッドに入った。