恋に落ちるなら君がいい
「慧っ、苦しいよっ…」
「ダメ。まだ足りない。」
そう言ってキスをすると
彼女は僅かな抵抗をしてみせたけれど直ぐに俺の腕の中におさまった。
きつく
きつく抱きしめて
ようやく
思い出した感情。
そう。
俺はずっと、こうして澪を抱きしめたかった。
抱きしめて
抱きしめて
壊したいくらい
抱きしめたいと願っていた。
「離れてる間もずっと…愛してた。」
伝えたかった気持ち。
言葉にしたかった気持ち。
それが解き放たれた瞬間
澪と離れていたこの数年をどうやって生きてきたかを思い出した。
家に連れ戻されて
監禁まがいに閉じ込められて
やっと逃げてきた時にはもう
澪はここには居なかった。