恋に落ちるなら君がいい
憮然な態度で現れた予想外の人物に苦笑いがこぼれた。
「まさか、直々にそちらから来るなんて思わなかったな…。
アポ無しで
今日は何の用ですか?
…砂月さん?」
「あなたのその皮肉な笑顔はいつ見ても腹が立つわ。
話したいことがあって来たのよ。
じゃなきゃ
会いにくるわけないじゃない。」
「それはそうですね。どうぞお掛け下さい。」
慧一もまだ戻る前に
彼女が来た目的がなんなのか分からなかったが
暇つぶしにはなりそうだ。
本性をむき出しの彼女を見るのは
化け猫の正体をあばくよりも楽しい物がある。
彼女がそのような姿勢で来た以上
こちらも取り繕う必要はない。
楽ができる。