恋に落ちるなら君がいい




5歳になる夏に

慧が産まれて

ようやく私に…

私という存在に価値が産まれた。


それは

将来、慧一の妻になる。という親の決めた約束事。


「福富家に一人息子が産まれたぞ。

いつか

お前をお嫁にしてくれる男だ。


砂月、お前は三影の娘として恥ない素敵な女性になるんだ。


福富の名を貰うために努力を惜しんではいけない。


お前が努力をすれば

その分、皆がお前を愛してくれるよ。」


そう言った父の言葉は私には

「お前は努力をしなければ愛されないんだよ」


そう言ってるように

聞こえた…。




それでも嬉しかった。



それからの私は素敵な大人の女性になるために


福富家にプレゼントする大切な贈り物として

皆が私を大切にしてくれた。


突然始まったたくさんの習い事に追われても

学問に追われても


大変だったけれど苦痛はなかった。


努力をすればその分

みんなが私を見てくれるから


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