恋に落ちるなら君がいい
福富家の跡取りとして産まれた慧一は本当に絵に描いたようにすくすくと育った。
私は慧一が一つ。また一つと成長していくにつれて
また、慧一も私と同じように
目的のために産まれ
目的のために成長しているものだと信じていた…。
可愛い弟という存在が
いつか
私の鏡のように
慧一は私の瞳に映し出されていた。
けれど中学生を過ぎた辺りから慧一は少しずつ変わっていった。
「親の敷いたレールを走りたくない。」
「俺の人生は俺のものなのに…」
そんな反抗的は言葉を慧一が口にするたびに恐かった。
それは
婚約者である私の存在までもが否定されてるような気分で…。
「そんな時、私は必ず慧一に優しく教えたわ。」
福富家という名高い家に産まれた価値
跡取りの一人息子としてどれだけ、望まれ愛されて産まれて来たか。
私と似てるようで全然違う。
親に反抗する慧一を私は
一人っ子だから少しわがままなんだと思っていた。