恋に落ちるなら君がいい
ビジネスホテルの一室で
澪の帰りを待っていた。
「もう夕方じゃん…
澪…大丈夫かなぁ…」
カチャンと扉の開く音がして
慌てて彼女を迎えに行くと
やっぱり今日も澪は泣き腫らした目をして帰ってきた。
「おかえり!澪っ、大丈夫⁈」
その細い体をキュッと抱きしめるといつもだったら「うわーん!」って声をだして泣くのに
今日の澪は違った。
「平気‼」
そう言って体を離すと泣き腫らした目でにこっと笑ってVサイン。
「良かった…。本当に良かったね‼」
そう言い勢いよく抱きつこうとする俺を上手い具合にかわして
部屋の中に入っていく。
と、同時に「どうしたの‼これっ⁉」と驚いた澪の声。
「頑張ってる澪にご褒美だよ」
そう言って彼女の横に立ち
彼女の驚いてる顔を誇らしい気分で見つめた。
「澪が出かけてる間に暇だったから買ってきたんだ。
あのまま君を連れ出しちゃったから着替え、大変だったじゃん?」
「え、これ全部服なの⁉」
「そうだよ‼」
12場の部屋に
足の踏み場もないくらいの紙袋。
頑張ってる君に俺ができることはこんなことくらいしかないから…。