恋に落ちるなら君がいい


砂月のこと


思い返すたびにショックを感じる…。



まさか


あの砂月が俺たちを引き裂いた張本人だったなんて…



無理やり連れ戻され

部屋に鍵をかけられ…

会える外部の人間は砂月だけだった。


その時も砂月は砂月なりに…俺を支えようと努力していてくれたんだ…。



「可哀想な慧一、何があったかは知らないけれど…


私は慧一の側にいて

ずっと離れたりなんかしないわ。

だって私は…

あなたの婚約者ですもの。」


悲しげに微笑んで

いつもそう

辛い時にはそばに居てくれた。


…幼い頃からずっと。



姉のような存在だった。


澪と結婚できないなら…

砂月以外の候補はでてこない。

それは俺が砂月を愛していた…

と、いうよりは

幼い頃から姉のように


温かく俺を見守ってくれていた砂月には信頼があったから…。


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