恋に落ちるなら君がいい
けれど、砂月に対して恋愛感情を抱いた事は無かった。
容姿端麗で
幼い頃からなんでもできて
明るくて前向きで
全てが完璧で文句のつけようが無い女性。
だけど
顔を合わせても言葉を交わしても
一つもシックリこなかったんだ…。
まるで
人形と会ってるような
異様な気分。
あんなに明るく笑い
気を使い
楽しい話題も豊富だけど…
例え方が分からないけど…
砂月が空っぽの人形に見えて仕方がなかった…。
そんな砂月が
俺達を引き裂いた張本人…。
泣き崩れた彼女見たのは初めてだった…
いや、
正しくは笑顔以外は
見たことがなかった。
砂月が俺たちを引き裂いた張本人だったことも
突然剥き出しにされた感情をぶちまけた姿も
まだ…
正直
実感が湧かない。
最初から
雲のように掴み所のない女性だと思っていたけれど…
もっと彼女のことが分からなくなってしまった。
だから…
会うのが恐い。