恋に落ちるなら君がいい
「慧は…本当に私を愛してくれてる?」
緊張で
慧の手を握りしめる手に力が入る。
恐くて体が震える。
「もちろん…愛してるよ」
慧は優しく笑って言ってくれるのに…
その言葉を聞いて
以前のように激しく鼓動が高鳴らない
楓社長のような
穏やかな気持ちにならない。
慧に愛してる。と言われるたびに
不安になっちゃうんだ…。
抱きしめてくれるたびに
悲しくなっちゃうんだ…。
私のために何かしてくれるたびに
胸がきゅぅぅって締め付けられるみたいに切なくなるんだ…。
好きなのに…
その言葉を
信じきれないんだ。
だから
聞いて欲しいと思った。
「慧…あのね、私…恐いんだ。」
「…何が恐いの?」
慧は慧なのに…
だけど慧であって慧じゃないような不安。
あの頃と少し違ってしまってるのは私だっておなじはずだけど…。