恋に落ちるなら君がいい
「慧があんなに頑固だなんて思わなかったなー」
「澪だって!一歩も引きやしないんだから驚いた。」
笑いながら
手を繋いで
アパートへと向かう。
頑固になるのも
引けないのも仕方がない。
だって
あの子は
私達の子供なんだもん。
それはどんなに時が経っても変わらない。
アパートの階段に花束を置いて
2人で手を合わせた。
性別もまだ
分からなかった
小さな小さな宝物。
それを守れなかった私達にできることは
あの子が天国で幸せでいてくれることを願うこと。
そして…
私のお腹にまた
走ってきてくれること
「階段に花束置いて邪魔にならないかな…?」
「ならないよ。だってここ。もう誰も住んで無くて家主から俺が買い取ったんだもん」
「えっ⁈…そうだったんだ…
さすが福富家の跡取りだね。」
呆れ顔の私に
「だから、それを言うのは無しっ!」と頬をつねってくる。