恋に落ちるなら君がいい
「良かった…」
そう笑った途端に
突然、笑いながら大粒の涙を落とす。
無意識のうちにその涙を
指で拭っていた。
「なぜ、良かった。なんて言うんだ…?」
「だって、もしもあなたが別の誰かを選んでしまったら…
私は絶対に妬きもちを妬いてしまうから…」
それはまるで
「俺の事が好きみたいな言い方だ。」
探るように問いかけた。
すると暗闇でも分かる
彼女の頬が
寒さ以外の理由で色付いていくのが…。
「あなたの事が…好きなんです。
別れたくない。
あなたの妻でいたい。
側に…いさせて欲しいんです。」
泣きながら
震える声で言った言葉が
俺の作り出した幻聴なのではないかと…
自分の耳を疑ってしまった。