恋に落ちるなら君がいい








ひんやりと冷たい唇が重なる。


粉雪で濡れた細い髪を撫でると

水滴が手のひらが濡らす。


細い肩は想像以上に白くて

触れたら壊れてしまいそうなガラス細工のようだ…。



女性の素肌を見るのも

肌を重ねるのも

正直、初めてで

扱い方が分からないはずなのに

知らなくても

体は勝手に知っていた。



学ばなくても

愛する人の抱き方は

知っているものだった。



細い体は

身体のラインに反して心地良いくらい柔らかくて温かった。



この温もりを知ることができて

この温もりを教えてくれたのが澪で良かったと


心から思った。



肌を重ねれば


愛の言葉は自然と零れる。


小鳥のさえずりのように鳴く彼女は

俺の知らなかった表情で

必死に

その手を伸ばして

俺の首に抱きついてくる。




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