恋に落ちるなら君がいい



通い始めて10日



ようやく


家にあがらせてもらうことができて


お父さんと久しぶりの対面をした。






思いきりぶん殴られるかと思っていたのに…



不思議だった。


あんな風に別れたのに

あんな風に出て行った私を




お父さんも


何も言わずに抱きしめてくれた。





親。という深い愛情。


もしもあの時

私の赤ちゃんが死なずに済んだのなら


もしかしたら


お母さんやお父さんの気持ちを


もっと理解できていたのかもしれない…。



「本当に親の心子知らずとはお前のためにある言葉だな」って


泣きながら

笑ったお父さんを見て


会いに来て良かったと

心から思えた。


私の背中を押してくれたのは


楓社長。


あの人の


親への深い愛情だった。



「大切な人ができたら紹介しなさい」


そう言ってくれたお父さんに


私は

泣きながら

謝り

泣きながら

ありがとうを

何度も繰り返し伝えた。


伝えきれない言葉。

伝えきれないもどかしさで

なんども繰り返した。





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