恋に落ちるなら君がいい
そして、そのまま捕まえた私の手を自分の額に押し当てて
ゆっくり
前髪を掻きあげさせる。
「俺、中学時代は金髪だったんだよ?」
そう言われた瞬間
閉じ込めたままにしていた思い出の中の男の子と
目の前にいる野嶋君が重なって
自分でも気づかないうちに小さな悲鳴をあげてしまった。
「ぃやっ‼」
慌てて手を払いのけ
一瞬で激しく打ち始めた鼓動で
心臓がでてきてしまわないように
両手を思いきり胸に押し当てた。
「橘はさ、無理しすぎだよ?
人はそんなにすぐには変われない。
いくら感情のないフリをしようとしても
いくら表向きの顔を取り繕っても
分かるやつにはわかるんだ。」
あたしを見ながら
少しだけ
呆れたような声をだす。