恋に落ちるなら君がいい
「楓社長…?」
名前を呼ばれて、自分がぼんやり考え事をしていたことに気づかされる。
「希望は決まった?」
「あの…
私には特別、希望はないのですが…
世間体を気にするだけでしたら、近所を2人で散歩。とかでもよろしいのではないかと…」
散歩か。
それは俺の中には無いアイデアだ。
「そうだな。とりあえず俺たちが夫婦である事は法律上ではシッカリ承認されたんだ。
式をあげるまでは日にちもまだ長いことあるし…
とりあえずは身近な所からちゃんと夫婦として見られる必要があるね。
良いアイデアだと思うよ。
そうしよう」
彼女の意見を優先し、良いアイデアだと褒めたのにも関わらず
彼女は微笑むまでに少しの間をおいた。