恋に落ちるなら君がいい
帰宅すると玄関に彼女のパンプスが置いてあるにも関わらず部屋が暗い。
「もう寝たのか?」
キッチンにはまだ出来上がったばかりのように温かい食事は置かれている。
一瞬、この間の泣いていただろう彼女の顔が浮かんで息を飲んだ。
声をかけるべきかどうか悩んだけれど、様子を伺う事くらいはしても構わないかと思い、部屋の扉をノックしても返事がこない。
「やっぱり寝てるのか?」
寝てるなら仕方ない。
そう思い、その場を立ち去ろうとした時だった。
今にも消えてしまいそうなか細い声が聞こえた気がしてゆっくり部屋の扉を開けると
彼女はベッドの中にいるようだった。
「寝てるのか…?」
そう聞いても返事はなく
ゆっくり
部屋の中に入って行くと
彼女は制服のままベッドに横たわっていた。