恋に落ちるなら君がいい


タクシーなんて贅沢なものを利用したのも数年ぶりだ。



そう…


あの頃もこんな風に冬を間近に控えていた季節だった…。


つい、数日前まで温かかったのに

ある朝、吐いた息が白くなるほど冷え込んでいて。



あいつのバイトを見送ろうと外に出たら

あいつが


私を見て


「澪の吐息が見れる季節だ」って笑って


そして


キスをくれた。






忘れたくて



忘れたくない



大切な思いで。



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