恋に落ちるなら君がいい


帰宅すると、もうろうとした意識の中でなんとか軽めの夕飯を作った所までは覚えているけれど


その後、翌朝までの記憶がぷっつりない。




その間


とても幸せな夢を見ていた。





あいつが



慧が



やっと帰ってきた。



そんな夢だった。





夢でもいい。

ずっと会いたかった

会いたくて会いたくてどうしようもなかった。



慧の不在が私を変えた。


私の全部は慧で成り立っていた。


心の中を空っぽにしたのは

ねえ…

慧…


あなたに会えない寂しさが

わたしをそんな風に変えたんだよ…?






あんな夢を見たのは



野嶋君のせいだったのかもしれない。







朝、目覚めると


不思議なことに楓社長がベッドを背もたれにして眠っていた。




彼と結婚してから


1番驚いた出来事だった。




< 54 / 308 >

この作品をシェア

pagetop